チューンアップなどしない本来の状態で乗ることが大事
最初はファミリーカー&ぶつけてもいいクルマとして、レンジローバーを選んだ。
市川さんの所有車はフェラーリF12やレンジローバーを含め、現在9台。財力あっての台数だが、所有している理由を訪ねると、明確な答えが返って来た。
「スーパーカー世代なので、フェラーリF12、スカイラインR32GT-R、R34は、まさにそのものです。衝突安全性を満たしたBMW750は妻用で、BMW130は街乗り用、サニトラは荷物運び用、N-BOXはごく近所用、ジムニーはレンジローバー以外の災害時の備えです。
レンジローバーは当初『遠出用のファミリーカーで、悪路等でぶつけてもいいクルマ』として買ったのです。でも、その乗り心地の良さに家族も驚いて、すっかりハマりました。そして更にレンジローバーの世界を堪能するために、3rdレンジローバーに乗り換えました」。
チューンアップなどしない本来の状態で乗ることが大事。
すべての所有車を新車同然のコンディションに常に維持しているのが市川さんの凄いところで、僅かな走行感の違いに気付くのも彼の特性。
「足回りがへたったままで乗るとか許せないのです。例えばレンジローバーはロイヤルワラントを授かり、女王陛下もご自身で乗る素晴らしい乗り心地のクルマです。それをちゃんと状態維持することこそ、オーナーのあるべき姿勢だと思います。
特にオンロード性能の良さは、セダンを十分に兼ねてますね。一台一台に世界観があるのがクルマだけど、レンジローバーが数台分を兼ね備えてしまっていることに気が付きました。もう必要ないかなと思うクルマが、2台も出てきました。
レンジローバーは違いますが、最近の新車には標準価格に含まれない『オプション装備』が多過ぎると思います。電装品は良いけど、そのクルマのアイデンティティというべき機関系パーツまでもがオプションになっているのは、ちょっとがっかりです。ショックアブソーバーやブレーキシステム、マフラーに至るまであります。完成された世界観を標準にして欲しいですね」。
パティック・フィリップのノーチラス、完全じゃないピンクゴールドを選ぶ。
レンジローバーオーナーにもファンが多いのが、機械式腕時計。ロレックス、ブライトリング、パネライほか、クルマ同様に歴史や世界観は様々だ。
「正直な話、クルマも時計も維持してくのは大変で、仕事へのモチベーションはおかげで相当なものです。先日、念願のパティック・フィリップのノーチラスを購入しました。より防水力の高いステンレス製にするか迷いましたが、敢えてそこは不完全なピンクゴールドに決めました。不完全さに、作り手の世界観がぎっしりと詰まってる気がしてならないのです。死ぬまでパーツ供給を約束してくれるのも、時計の価値だと思います」。