ディフェンダーに乗って
クルマの「楽」を考える
ディフェンダーに乗ってクルマの「楽」を考える
ランドローバーを代表する車種「ディフェンダー」。レンジローバーやディスカバリーが、オンロードであってもオフロードであっても、より快適に、より速く、より安全にと進化していくのに対し、ディフェンダーは登場以来、エンジンや内装のデザインは変わっても、基本設計は変わりませんでした。
快適でもなく、速くもないディフェンダーですが、未だに人気があります。街中を走っていても注目度満点! 話しかけてくれる人もいます(「古いクルマ、すごくキレイですね!」と言ってくれたお姉さんもいました)。
そんなディフェンダーなので、新しい年式であっても、決して「楽(ラク)」なクルマではないと思います。
今のクルマは驚くほど装備が充実しています。エアコンはマニュアルではなくオートがほとんどで操作要らず。パワーウインドーなんて標準装備が当たり前。バックをする時は後ろを見るより、バックモニターの画面を見る方が多くなりました。
そして乗り心地が良いし、とっても静か。快適過ぎると言っても過言ではないでしょう。とってもよくできていて、そしてとっても「楽(ラク)」です。これで満足しないとバチが当たるというものです。
でも「楽しい」かと言えば「?」が…。それが、ここ最近よく耳にする「面白いクルマがないなぁ」というクルマに対してのマイナス意見に繋がっているのではないでしょうか。
ディフェンダーは乗り手を選びます。AT(オートマチックトランスミッション)はなくMT(マニュアルトランスミッション)だし、車高がある分、乗り降りするのも一苦労だし、荷物や人をたくさん積むことを想定したサスペンションは、かなり硬い乗り心地。不満箇所を挙げればキリがないけど、これだけは言えることがあります。
「ディフェンダーは楽しい」。
クラッチとアクセルのタイミングを合わせたり、重いハンドルを回したり…。大変だけど、これがクルマを運転している、クルマを操作している気持ちになるから不思議なもの。だから最新装備は充実していなくても、大満足なのです。
もしかしたら、クルマの「楽(ラク)」がなくなればなくなるほど、クルマは「楽しい」のかもしれません。
つまり、クルマの「楽(ラク)」を求めるのではなく「楽しさ」を求めるクルマ、それがディフェンダーではないでしょうか。レンジローバーやスポーツ、ディスカバリーとリリースするメーカーが、このようなクルマをずっと作り続けていたのです。そこがランドローバーの楽しさ・面白さでもあり、魅力であると思うのです。