<2018.02.08>
2つの伝統
ogawa総合カタログ2018撮影記
それは一本の電話から始まった。
星空を見る幸せ
撮影日前日の朝。季節外れともいうべき台風が過ぎ去った。台風一過のあとは、だいたい晴れる。
「チャンスだ、今から星を見に行こう」。
それがこのコラムだ(※クリックすると記事に飛びます)。空を見上げれば満天の星空。満天の星空は今までたくさん見たかもしれないが、思い出ではなく実際に何度も見たい。そこに流れる感じる空気、自然の中にいる自分という存在。仲間といるのも楽しいが、自分だけの世界がそこにはある。空を見て、何を思うのか。何を考えるのだろう。それはその時にならないと分からない。
太陽の光が全体を照らし始めると、星空の一大ステージは終演を迎える。そして次には、朝もやとともに湖に新しいステージが登場する。さぁ、カヌーを漕ぎ出す時間だ。
ランドローバーの本質
カヌーを積んだクラシックレンジに加え、朝にはもう一台、ランドローバーの名車が登場した。ディフェンダーだ。クラシックレンジとはまた違う雰囲気だが、このステージに合う。
時代とともに少しずつは進化したディフェンダーだが、何十年も変わらないこの設計(スタイル)は、いかに基本が大事かであることを静かに語りかける。
テントも同じなのだろう。時代に合わせ、変わるところは変わらないといけない。しかし、テントの根本というのは何だろうか。奇をてらったものは話題性にはなるが、それは一過性でしかない。そうブームだ。ブームはいつか飽きられる。基本を大事にしていないものは、じきにその姿を消していく運命にある。
それは決して便利、不便という軸ではないだろう。コンビニ、エアコン、インターネットなど、今の生活環境は便利そのもの。しかしアウトドア、つまり自然の中で過ごすということは不便そのものだ。だからこそ考え、アイデアが生まれ、それがカタチとなる。
失われた本質の時代だからこそ。
レンジローバーの進化も、まさにそのものだ。その時代で最高の技術を惜しみもなく取り入れてきた。だからこそ、砂漠のロールスロイスと言われる所以だ。クラシックレンジは今でこそノスタルジック的要素で見られるが、その時代の最高の技術、そしてその当時の開発者の想いが詰まったクルマだ。だからこそ、一過性では終わらず歴史を刻み続けている。
ogawaのテントも、その新しさの向こうに、まるでレイヤーのように歴史が透けて見える。だからこそ、コアなキャンプファンからの支持を集めている。
「クラシックレンジローバーにカヌーを積んで本栖湖に来てくれませんか?」
クラシックレンジとogawaのテント。ともに歴史あるもの同士が放つ流れる空気。物が溢れ、物があるのが当たり前の現代だからこそ、物の価値を感じられる幸せ。それが人生を豊かにしてくれるのだろう。