LAND ROVER STYLE CHANNEL
その感性を手のひらに、優雅な冒険がはじまる

<2017.12.28>

チャンスだ、
今から星を見に行こう。

夜明けは朝もやの湖を漕ぎ出そう

 

 

 男であれば誰でも「独りで旅をしたい」なんていう衝動に時々駆られるものだ。イメージ先行のロマンなのか、あるいは遺伝子的な冒険心からか、あるいは、反作用的に現実社会から離れてみたいからなのか?
 見ず知らずの都市でもいい。何もない静まり返った自然の中もいい。かつて若い頃に、逃げ込むように訪れた思い出の場所や、昔の恋人とデートしたロマンティックな景色を、今さらひとりで見に行くのも悪くない。
 大人になるということは、時にノスタルジーを愛することかも知れない。過去を振り返りたいというよりも、本質に戻りたいということ。世の中のことも分かってきて、生きていく自分のスタイルやスタンスも確立はしているが、「渇望」の2文字が消えることは、自惚れない限りはない。
 
 「満天の星空を仰ぎたい....」。
 
 無心に遠くを見て、心のギヤをニュートラルに入れたいのか、時間や相対性の束縛から開放されたいのだ。
 数カ月前の台風一過の夜のこと。すべてを綺麗に一掃して洗い流してくれそうな雨に、心も揺さぶられ突然決めた10時間の旅。
 

 
 「独り、星を仰いで眠ろう。そして、夜明けは朝もやの湖を漕ぎ出そう。今から愛車のレンジローバーに乗って行って」。
 
 まだ風の遠吠えが聞こえる台風一過の風の中、ガレージでイメージを膨らませ準備をする。最新のSCW雲観測マップを慎重に分析して出発だ。イグニッションキーを廻してエンジンを掛ける。エンジンは、キーを差して廻してかけるのがやはり好きだ。「手応え」という名の心地良さだろう。
 中央道に乗り、ジャズファンクで徐々に高揚していくのが分かる。着く頃には風も収まって、完璧な静寂に間に合うだろう。