愛車歴を数台見ればその人の価値観、人間性もちらりと見えてくるものだが、彼の職業はデザイナー、イラストレーター。彼の生み出す独特のキャラクターに見覚えのある人も多いと思う。そう「モテリーマン」の生みの親だ。 「子供が出来て、大きくて安心して乗れる車を探しました。レンジローバーはシトロエンXMと同様に、機能美と言うべき無駄のないボディをしてるんですよ。開発者がとことん合理性を求めた結果のデザインに思えます。レンジローバーのデザインがクラシックから現行モデルまでほとんど変わらないのもその表れですよね。」 それを聞いて、納得してしまったのが、彼の描くデザインとの共通点。 時代や流行を感じさせないデザインなのだ。
品のないお恥ずかしい話だが、インタビュー中に彼の袖口からチラッと見える腕時計が、ロレックスのデイトナ6263ではないかと思った。話が一段落したところで思い切って聞いてみた。「凄い時計してますよね?」 すると彼は「あ、これ違いますよ、ロレックスじゃなくチュードルです。例えばこういうものも好きなんです。」チュードルと言えばロレックスの弟ブランド。ムーブメントが他社製(ETA社)、それ以外はデザイン、ケースはロレックス。ここにも彼の一貫性が見えた気がした。
代官山と言えば、時代をリードし、自然とクリエイティブな人が集まる街。毎年生まれる流行は消費サイクルが早く、翌年にはまた別の風を生み出すのだ。 「独立する前は代官山で働いていました。だけど僕の目指す世界は、時代性を取り入れた様な「ポップ」なものじゃないし、代官山にも僕の感覚は必要とされてないのではと思いました。」そう確信した彼は、代官山を離れ地元へ戻っての独立を決意したのだ。
「今回は、ご自宅兼仕事場へ取材をさせていただいた。彼のライフスタイルは家族と仕事と趣味のオールインワン。大事なもの達と、いつも近くで過ごせる最高の空間だ。仕事場からガラス越しに愛車レンジローバーのリアビューを見上げられる空間も持ち合わせていた。仕事もクルマにも通じるポリシー「古さを感じない、無駄がない、時代性はいらない」それが家にも表れているのだ。 「デザインする事は、合理的に作り上げる事だと思います。素材でも色でも流行のものはいろいろあるけれど、それを取り込みたいとは思わなかったんです。無駄を省いたデカイ収納庫のような空間を作りたかったんです。」
家族と仕事とレンジローバー
彼のオールインワンのライフスタイルは
それ自体が、機能美と呼ぶにふさわしい。
イラストレーター
Shu-Thang Grafix / シュウ・サングラフィックス
(http://www.shu-thang.com/)
DearWin Inc. 代表取締役